2009年07月12日

中国国鉄客車列車の旅1 T7781次

旅行商品と同時にしか購入できない成田エクスプレスの切符を
紹介したということは、要するに海外に行ってたということに
なります。今回の行き先は中国山東省の青島で、なんとか週末込み
4泊5日のお休みを取りました。

台湾高速鉄道のところで少し書きましたが、日本でも乗れるもの
よりは今ここでしか乗れないものに乗る方を優先したい性格なので、
旅程から「中国版はやて」ことCRH2は今回の対象からはずしました。
あと何年か後でも乗れそうなCRHよりは、中国でしか乗れない客車
列車を優先して旅程も組んでます。
CRH2でも、寝台動車組の方ならばそのうち一度乗ってみたいとは
思ってます。上海-北京あたりはそればかりになりつつあります。

切符の解説にあたって、中国の鉄道の料金制度等をかいつまんで
説明します。例外も多いですが、だいたいこんな感じです。
1.動車組か客車か
CRHシリーズについては、「動車組」というカテゴライズがされて
いて、「一等座」「二等座」という2クラスの運賃体系になってます。
2.空調か非空調か
空調車は、要するにエアコン車。近年では大部分がエアコン
つきの車両になってます。料金体系は、空調車が非空調車の2倍と
なり、少ない非空調車は、出稼ぎ労働者(民工)さん等が多く乗る
車両になっているようです。昔ながらの深緑の共産主義色の車両
は、中国では非空調車のみとなっています(例外あり)。
3.列車種別による料金差
停車駅の多さやスピードで種別があります。
普慢(短距離中心)<普快<快速<特快(<動車組)という感じに
なり、右へ行くほど料金も高いです。
4.設備による料金差
動車組では、「一等」「二等」の表記ですが、従来型の客車では
「軟」「硬」で分けてます。ちなみに、ソ連も同じでした。
料金は硬座<軟座となります。座席とは別に寝台がある場合もあり、
「硬臥<軟臥」となります。当然、座席車よりも寝台車の方が高い
ため、硬座<硬臥<軟臥の順の料金になります。軟座はどこへ行った
のかと思われる方も居るでしょうが、中国では長距離列車の場合
にはたとえ昼行でも軟車は軟臥が連結されるのが通常のようです。

更に詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、
こちら(「中国留学と中国鉄路の日記」さん)のブログが
参考になるかと思います。
私自身も、料金体系までは詳しく知らなかったので、
今回の渡航前にかなり参考にさせていただきました。

今回の乗車列車は以下の4つになります。
@南京→南通(空調特快 特等軟座車)
A南通→淮安(普快 軟座車)
B淮安→青島(空調快速 軟臥車)
C杭州東→上海南(空調特快 軟座車)

 中国鉄との出会いは、もう20年前に遡ります。外国人料金も
外貨兌換券の闇両替もあった時代、外国人訪問客として父親と
2人で軟臥車(当時はそれしか乗れませんでした)に乗って以来の
付き合いになります。
 中国にはそれなりの頻度で色々行ってるんですが、長距離鉄は
久しぶり、最近は行っても広東省や山東省ばかりで、江蘇省は
はじめてでした。まず、旅程は適当に立てていたものの、日本より
も複雑かつ不確定要素の強い、切符の購入が最初の課題でした。
駅で購入するにしても、中国国鉄の切符は完全なオンライン化が
されているわけではないので、停車駅での割当制度が残っていたり
します。逆に、部分的にはオンライン化されているので、他の駅
での購入がサクッとできてしまう場合もある、このあたりが不安
要素です。今回は、「ダメなら国内線で飛べばいいか」という軽い
気持ちで、何の事前手配もせずに南京空港へ飛び、南京駅で
「南京-南通/南通-淮安/淮安-青島」の3枚の切符を幸運にも購入
できました。結果論としてはこれでOKなのですが、この記事を
読んで中国鉄路を旅したいという人には、「危ないのでそのまま
マネしないで下さい。こればかりは自己責任で」と書いておきます。

南京南通.jpg

 画像は、南京→南通で乗車したT7781次特快の車内補充券です。
中国でも、乗車券のオンライン化が進んでいることは書きました
が、普通の乗車券とかなり似た体裁で発行されてます。無理やり
日本に当てはめるなら、JR東日本の改善型車内補充券発行機みたい
なものでしょうか。原券より一回り小さく、原券の上にホチキス
留めされています。券面の説明ですが、右上の「上局寧客」は上海
鉄路局南京客運段を、「无座」とは「無座」のことを指しています。

ただし、ここで言う無座は「車内補充券だから座席指定なし。
空いている席にお座り下さい」くらいの意味です。中国国鉄には、
乗る時から売り切れや途中駅乗車で座席がない本物の「無座」と
いうものもありますが、こちらは本当に凄まじいです。

6月11日夕方、南京空港からバスと地下鉄を乗り継いで南京駅へ。
最近近代化が進む中国国鉄の中でも、「新しい上に使い勝手が
いい」という評判の駅なので楽しみにしてたのですが、建物の外は
汚れた怪しいおっちゃんがいるとか妙にアンモニア臭いとか
ありましたが、中に入ってみると殆ど空港という感じでした。
空港の中に入ってみると巨大な切符売り場が。窓口だけは30個
くらい並んでいたと思いますが、とりあえずモメそうな異地票の話
は後にするとして、今すぐ手に入れなきゃいけない南京-南通の切符
を買いに窓口を探す。各窓口のLEDを見ていると、「全国10日以内」
と「○○方面最早列車」の窓口が。○○は、上海と南通ともう一つ
くらいの行き先が交互に出ていたのでそこへ並ぶ。
窓口に「今天 T7781南通 特等軟座或一等軟座 1人」と書いた紙を
出すと、特等軟座はないと言うリアクションをされたので、一等
軟座券を購入。次の日以降の切符を別窓口手手配してから、
動車組・軟車候車室(上級クラス客専用の新幹線の待合室みたいな
もん。空港の待合室並みに広い)へと進みます。ここに居るのは、
豊かな都会南京の軟座客ということで客層はほぼ日本の待合室と
同じくらい、逆に言えば民工さんなどの大荷物の人たちをや子連れ
出稼ぎなどが見られることもなく、ちょっとアレレなマナーの人たち
も居らずでした。
 中国の鉄道は、少し前までの北海道のような列車別改札なので、
到着直前(あるいは到着後)まで待合室で待たされることになり
ます。ホームに先に上がって写真等を撮れないのが、ヲタとして
は残念です。
 T7881は上海始発、南京経由の南通行きになるのですが、この日
の京滬線(北京-上海)上りは他の列車を含め少し遅れていたようで、
到着時間になってもまだ改札が始まらず。周囲は特に激しい動きは
していないし、電光掲示板は「T7881 待合室で待て」という表示を
出し続けてるのですが、列車別改札だけにアナウンス等を聞き逃
したかとこっちは不安で一杯にもなります。
 本来の、発車予定時刻1分前の18:30頃になって、ようやく
「南通行きは1番線からの発車です」というアナウンス。1番線は、
跨線橋を渡らない目の前のホームでした。列車そのものは、定刻
より20分ほど遅れて到着したため、ホームでゆっくり写真を撮る
余裕はありませんでした。(実際は、出発も15分ほど遅れましたが)
T7782南京進入時.jpg
 
 T7881次の車両は、中国国鉄の車両群の中でも特殊に分類される
車両で、特快に使われる25K系列と同形式になってますが、ほとんど
別モノです。軟座車のみで構成されており、特等・一等・二等の
3種類がある豪華編成です。90年代後半に上海地区専用の高級車両と
してデビュー、動車組(新幹線)に押されてこの当時上海南通と
杭州江山、間合いで上海杭州にのみ入っていた感じでした。
 乗客の大部分は前方の二等軟座客だったようで、後方の一等軟座
は南京での下車客も殆どなく、南京からはせいぜい1両当たり3-4人
の乗車でした。最終目的地の南通は、上海からバスなら2時間、
鉄道が遠回り過ぎて南京を跨ぐ通し需要はゼロみたいなものかなと。
 とりあえず割り当ての座席へ向かってみる。ドアから入って
最初の座席。誰かが座った跡が。とはいえ、あまりにもガラガラ
なので、気に入らない席に座らなくてもいいだろうと適当に移動
してみる。やけに冷え込んだ車内では、JR西日本221系を10倍
くらいカビ臭くした冷風が流れ続ける。車内も妙に陰気臭く、
緑色のリクライニングシートはかなりくたびれ、昔の国鉄通勤型
を思わせる寒色系の窓周りはところどころ剥げ落ちていて、かなり
がっかりしました。
 発車後、少ない客で目立つのもものともせず車内探検へ。隣の
車両へ足を伸ばすと、今の車両よりはこぎれいで居心地のよさそう
な車両を発見。個室がある、さらに座席が2+1の3列になってる。
そう、南京駅で買えなかった特等軟座でした。1両しか連結されて
なくて、定員が46人しかないことから切符を買ったときには本当に
満席だと思ってましたが、一等軟座が5人しか乗っていないだけ
あって特等軟座も3人だけ。買えなかったのはシステム上の問題
だろうと判断して、自車に戻り、服務員さんに筆談で、特等軟座に
補票できるか交渉します。
T7782特等軟座.jpg
 
補票とは、車内清算で座席の種類を変更することを指します。
オンライン化が完全ではない中国では、指定券類は始発駅中心に
割り振られ、途中駅には数席の上級座席と硬座の無座が大量に割り
振られ、指定券を取れなかった場合には無座券で乗車し、車内で
敗者復活戦を行うというシステムになってます。今回の補票は
まさにそんな感じで、「一等座→特等座」への変更をお願い
するものでした。
 交渉の結果、車内の服務員おばちゃんがおいでおいでと誘導して
くれて、4両ほど前の補票を行うカウンターへと案内されました。
ここで、21元を支払って補票してもらいました。
画像の切符が2枚綴りなのは、下が原券で上が補票後の補充券な
ためです。
 日暮れ後だったこともあり、特等座に移ってからは座って本を
読むくらいしかやる事がなく、ただ座ってました。途中で喉が
渇いたので服務員さんに「水はどこで買える?」と聞くと、
わざわざどっかから持って来てくれたのには感謝。水は品切れで、
加糖の緑茶かオレンジジュースから選べと言われたのは中国品質
ということで。
 特等軟座は客の動きがないまま、日没後の揚州・泰州と過ぎ、
オレンジ色に光るヤード以外に何もない海安県を過ぎると、車内は
店じまいの雰囲気となり、乗客が居るにもかかわらず枕カバー等を
服務員が代え始める。けだるい雰囲気の中、南通が近づくとバラ
ード超の音楽が流れ「まもなく終着駅の南通です」というアナウ
ンスとともに駅構内へ。
 闇の中にオレンジ色に浮かぶ近未来的な南通駅のホームに降り
立ち、車両写真を撮ろうとしたところそれまで親切にしてくれた
服務員さんが、「出口はあっちだからね」と急かすので車両写真
を2枚ほど撮っただけですぐに外へ向かい、客引きの雲助っぽい
相乗りタクシー(これしか居ない)に今夜の宿を告げ、駅を離れ
ました。
="0"align="" alt="T7782南通.jpg" />

(なお、この列車は、2009年7月の改正で廃止になった模様です。
あの乗車率じゃ仕方ないですかね。)


posted by 常緑樹 at 23:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参考になりました!色々とありがとうございます。
Posted by 中古車査定 at 2012年06月06日 21:36
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